2014年1月22日水曜日

マラガツアー2014年2月のお話

昨年に引き続き、株式会社HISさん主催、企画・株式会社ERUTLUCさんのEURO BBA Coaching Education Tour 2014 Malagaのコーディネーターとして渡西できることになりました。
バスケットボールのコーチのためのツアーで内容に関してご興味のある方はこちらで概要を把握していただけるかと思いますし、また帰国後にいろいろな媒体で成果やレポート(?)などをご報告できるかと思います。

※昨年マドリードへ行った時のブログはこちら公式レポートページはこちらからご覧ください。



前回はプロチーム「エストゥディアンテス」に毎日通って育成組織がどうなっているのか、年代別全カテゴリーの練習を全て見てという部分がメインコンテンツであったのですが、今回はコパデルレイ完全観戦がメインと言えばメイン(4日間で7試合観戦)、その他に同時開催のミニコパ(14歳以下の大会の視察とスカウトの方との会談)、プロチーム「ウニカハ」訪問で特別クリニック開催、クラブスタッフの方にもお話をうかがいます(もちろん下部組織の練習も見学します)。またツアー募集時には公表できなかった、別のコーチングクリニックに急遽参加できることも決まりました。

ただ今回のブログでは、4日間でヨーロッパトップレレベルの試合7試合を観戦できることから、そもそもコパデルレイって何ですか?出場チームはどんなチーム?どんな選手がいるの?といった部分を書いてみたいと思います。

Liga Endesa ACBとは

リーガ・エンデサ・アーセーベーと読みます。1983年にLiga ACBは創設されましたが、2011年夏に電力会社エンデサ社がスポンサーとなり、リーグ名がネーミングライツにより単にLiga Endesa、もしくはLiga Endesa ACBとなりました。これがスペイン国内1部リーグになります。参加チームは18チーム、ホーム&アウェイで総当り計34試合をレギュラーシーズンとして戦い、上位8チームがプレーオフに進出するというスタイルです。また17位18位は2部リーグに自動降格となります。

面白い仕組みとしてスペインではオールスターゲームのようなイベントに人気がなく2004年に廃止、その後スペインバスケットボール界がとった策はコパデルレイ(国王杯)の改革でした。同大会を4日間の短期集中開催として、8チームによる1発勝負のトーナメント戦の公式大会にリニューアルしたのです。そしてこの8チームの参加資格をレギュラーシーズン34試合中、17試合終了時の上位8チームとしました。(この17試合目を各チームは2014年1月25日と26日に戦います)

そうなんです、そのコパデルレイを完全観戦できるのが今回のコーチング・エデュケーション・ツアーの1つのコンテンツなのです。



出場が決まっている8チーム

レアル・マドリード - 2012年大会優勝
バレンシア・バスケット - 1998年に1度だけ優勝
F.C.バルセロナ - 2013年大会優勝
ウニカハ・マラガ - 地元開催枠、前回優勝は2005年大会
ハーバライフ・グラン・カナリア - 優勝歴なし
CAIサラゴサ - 2年連続コパデルレイ進出
ラボラル・クチャ - 2009年大会優勝
イベロスター・カナリアス - ACB昇格2年目でコパデルレイ進出


※組み合わせ抽選会は現地1月27日12時からマラガ自動車博物館にておこなわれ、サッカーのCFの監督ベルント・シュスターと女子テニスでマラガ出身のカロリーナ・ナバーロが抽選を行い、下記のように対戦カードが決まりました。



2月6日木曜日 19時~レアル・マドリード対グラン・カナリア

レアル・マドリード
ACB公式ROSTERページ / 日本語版作成しました
ハーバライフ・グラン・カナリア
ACB公式ROSTERページ / 日本語版作成しました

2月6日木曜日 21時30分~ウニカハ対CAIサラゴサ

ウニカハ・マラガ
ACB公式ROSTERページ / 日本語版作成しました
CAIサラゴサ
ACB公式ROSTERページ / 日本語版作成しました


2月7日金曜日 19時~ラボラル・クチャ対バレンシア

ラボラル・クチャ
ACB公式ROSTERページ / 日本語版作成しました
バレンシア・バスケット
ACB公式ROSTERページ / 日本語版作成しました

2月7日金曜日 21時30分~FCバルセロナ対イベロスター・テネリフェ

F.C.バルセロナ
ACB公式ROSTERページ / 日本語版作成しました
イベロスター・テネリフェ
ACB公式ROSTERページ / 日本語版作成しました


2月8日土曜日 セミファイナル2試合
2月9日日曜日 ファイナル1試合



■ 主 な 選 手 紹 介 ■

これはマニア心として苦しい!全員紹介したいですが、キリがないというか、8チームx12人=96人紹介するわけにもいかないので、独断と偏見で注目選手セレクトしました!

2月6日木曜日 19時~レアル・マドリード対グラン・カナリア

レアル・マドリード
もう全員が注目なんですが、元NBAの13番セルヒオ・ロドリゲス、5番ルディ・フェルナンデスやNBAドラフト済の23番セルヒオ・リュルと12番ニコラ・ミロティッチ、とりあえずこの4人をおさえておけば大丈夫ですが、もう1人20番ジェイシー・キャロル、このアメリカ人シューターは対戦相手のグラン・カナリアに以前所属していて、ACBで2度得点王になっています。

ハーバライフ・グラン・カナリア
オーストラリア代表の8番ブラッド・ニューリーと昨季NBAインディアナにいた23番ベン・ハンズブロウが得点源です、他にスペイン代表ビッグマンの14番チャビ・レイ、スペイン代表候補だった30番のナチョ・マルティンが注目です。あと1人まだ若いですが22番のウォルター・タバレスは220cmのビッグマン。


2月6日木曜日 21時30分~ウニカハ対CAIサラゴサ

ウニカハ・マラガ
注目視点としては15番PGのジェイソン・グレンジェールと12番SFのカルロス・スアレスは昨年EURO BBA CETで行ったエストゥディアンテスの育成組織出身選手、17番フラン・バスケスはダンクが得意なビッグマン、22番ゾラン・ドラギッチはNBA選手ゴランの弟。最後に17歳の8番ドマンタス・サボニスはあのアルビダス・サボニスの3男です。HCは次期スペイン代表HCとも言われるジョアン・プラサさん。

CAIサラゴサ
注目はまずグルジア人コンビの19番のジョルジ・シェルマディニと13番ビクトル・サニキゼ、また得点源は10番クロアチア代表のダムヤン・ルデス(手が長い)とUCLA出身の8番マイケル・ロール、そして何より大怪我から復帰したばかりですがオランダ人ビッグマンの25番ヘンク・ノレルがどこまで復活しているか注目です。


2月7日金曜日 19時~ラボラル・クチャ対バレンシア

ラボラル・クチャ
2大得点源はアルゼンチン代表で元NBAの5番アンドレス・ノシオーニと新世代のドイツ代表216cmの21番ティボール・プライスが注目です。他にはウイングスパンが240cmあるというセネガル系スペイン人18歳の12番イリマネ・ディオップ、スペイン代表の19番フェルナンド・サン・エメテリオです。なおHCはロンドン五輪でスペイン代表を率いたセルヒオ・スカリオーロさん。

バレンシア・バスケット
チームの中心は7番ゼイビア大出身のジャスティン・ドールマンと若い14番のボヤン・ドゥブリェビッチがインサイドで得点源です、また4番のパブロ・アギラールは現役スペイン代表選手、ガードの5番パウ・リバスはスペイン代表候補(昨季対戦相手のラボラル・クチャから移籍)、またベテランながら10番のロメイン・サトはヨーロッパでの経験も豊富なSFとして注目です。


2月7日金曜日 21時30分~FCバルセロナ対イベロスター・テネリフェ

F.C.バルセロナ
当たり前のごとく11番のフアン・カルロス・ナバーロと9番マルセリーニョ・ウエルタスは注目です、他には20歳でナバーロの後継者とも言われる10番アレックス・アブリネス、さらに若い23番のマリオ・ヘゾニアに注目するもよし、ギリシャ人SFの16番コスタス・パパニコラオウに注目するもよし。ほんとは全員注目選手です。

イベロスター・テネリフェ
圧倒的な大黒柱はセンターの9番ブラゴタ・セクリッチですが、注目なのは5番のアルゼンチン人ニコラス・リチョッティと元スペイン代表21番サウル・ブランコがG/Fとして得点力があります。面白いところでは43番のルーク・シクマが元ポートランド大で現在日本のNBLトヨタにいる伊藤大司と大学時代のチームメイト(お父さんも有名なNBA選手とか)、また4番のフアン・ペドロ・グティエレスはいわゆるアルゼンチン黄金時代を支えた中軸選手の1人。

※主力の1人ブラゴタ・セクリッチが4日火曜日、トルコの強豪フェネルバフチェへの移籍が決定しました


怪 我 人 情 報

アール・キャロウェイ(ウニカハ・マラガ)


2014年1月19日日曜日

スペインバスケットボールリーグの仕組み

先日、株式会社UPSETの片岡さんがドイツのバスケットボールリーグの仕組みについての記事を紹介しておりまして、それならばと自分もスペイン版を書きましょう、というのが今回の趣旨だったのですが、2013年12月発売の月刊バスケットボールの記事にもあった、FIBAがJBAに苦言みたいなところの問題について、こんなブログ記事がありました、2020年東京オリンピック開催に向けてFIBAがJBAに求めていること。 このへんも絡めて書いてみました。 

まずリーグはどんな感じかというところから(2013-14シーズンの場合です)

  1. リーガ・アーセーベー(Liga Endesa ACB) 18チーム
  2. レブ・オロ(LEB Oro) 14チーム
  3. レブ・プラタ(LEB Plata) 13チーム
  4. リーガ・エバ (Liga EBA) スペイン全土を5つのブロックにわけたリーグ
この下はさらに地域リーグのようになっているんですが、とりあえず上から1部、2部、3部、4部と考えていいと思います。 

ちゃんとした組織図を見たことは無いんですが、これがいわゆるピラミッド型の縦の関係のリーグです。 1部ACBと2部LEB Oroは毎年入れ替えがありますし、2部と3部のチームの入れ替えもあります、3部4部間も同様です。

スペインのバスケットボールはいわゆる協会、フェデラシオン・エスパニョーラ・デ・バロンセスト(FEBで通称フェブ)があり、 スペイン国内のあらゆるバスケットボール(プロ/アマ、男女、代表、リーグ、3x3、車椅子バスケット etc.を管轄しています。 

つまりFIBA → FIBAヨーロッパ → FEBというラインです。 フェブ(FEB)はそれこそ全てのバスケットボールを管轄しているので、インフラのような普及・管理団体になり、本部はマドリードにあります。

1.リーガ・アーセーベー(Liga Endesa ACB) 

協会内の1部門としてプロのトップリーグACBがあります。ACBという組織がバルセロナにあって1部リーグを運営しています。18チームが総当りH&Aのリーグ戦を行い(レギュラーシーズン34試合)、上位8チームがプレーオフを戦います。
http://www.acb.com/

ACBは2011年8月電力会社Endesa(エンデサ)社とリーグのネーミングライツ契約を結びまして、 リーガ・エンデサ(Liga Endesa)としての名前で報道・表記されています。 契約は4年契約2年のオプション付き、総額6年で3,050万ユーロという大型契約。

こういったお金や個別のリーグ・スポンサー様(飲料メーカーや食品、保険などなど)、 そして世界中で放映権を売って集めたお金でプロリーグを運営しています。 

ACBはアソシアシオン・クルブ・バロンセスト(アソシエーション・クラブ・バロンセスト)の略で、いわゆるプロリーグです、また参戦チームもプロチームです。

2.レブ・オロ(LEB Oro) 
3.レブ・プラタ(LEB Plata)

 2部リーグと3部リーグのレブ(LEB)はACB同様全国リーグです。今季はそれぞれ14チーム、13チームが総当りでH&A戦を戦い、1位のチームがレギュラーシーズン優勝として、上のリーグに昇格、2-9位の8チームがプレーオフを戦い優勝したチームも昇格という形です。

ACB2部という言い方をしないのは、ACBが運営せず、フェブ(FEB)が運営・管轄しているからで、公式サイトもFEBドメイン内にあります
http://www.adeccooro.es/inicio.aspx
http://www.adeccoplata.es/inicio.aspx

ACB同様、スポンサーとしてアデコ社がついていて、 正式にはリーガ・アデコ・レブ・オロと言い、報道や表記、ロゴにはAdeccoと入っていますが、 通常はレブと呼ばれています。

ただし、ACBとLEBが仲が悪いかというとそういうことはなく、縦の関係のリーグで毎年昇格・降格があります。 また、シーズン中にACBのチームがLEBから選手を補強したり、ACBの若手選手がプレータイムを得るためにLEBのチームにレンタル移籍したりはもちろん、 ACBチームの2軍チーム、例えばバルサB、ウニカハBなどがLEB Oroを戦っていたり、フエンラブラダBがLEB Plataを戦っています。

プロリーグかというと何と答えていいのかわかりませんが、リーグとしてはプロではないと思います。 が、プロチームも参戦していますし、プロの2軍チームもいます、セミプロのようなチームもあると思います。

選手についてもプロもいれば、学生もいれば、兼業で職業を持っているセミプロもいるはずです。

リーグについても実際バルサBなどは2部リーグの試合なのに入場料無料でやっていたりしました。 

LEBは確かリーガ・エスパニョーラ・デ・バロンセストの略で、
Oro(オロ)は金
Plata(プラタ)は銀のことです。
その昔景気が良い時はもっとチーム数も多く、Bronce(ブロンセ)=銅というリーグもさらに下にありましたが、今はありません。
※英語表記だと、レブ・ゴールド、レブ・シルバーという表記を見かけますね


4.リーガ・エバ(Liga EBA)

ここから全国リーグでなく、地域リーグになります。
http://www.feb.es/eba.aspx

スペイン全土を5つのブロックに分けてリーグ戦を行います、開催時期やチーム数もまちまちです。 レブ(LEB)同様、参加チームもまちまちでプロもあれば、ACBの2軍チームが参戦していたり、大学と提携しているチームや、 アマチュアチームもいるはずです。 

日本では想像がつきにくいかとは思いますが、 仕事をしているベテラン選手や15-20歳くらいの若手選手が一緒になったようなチームも多いです。

他に例えばACBのエストゥディアンテスはエバ(Liga EBA)に23歳以下の2軍チームを参戦させていて(自主的にU23にしている)、 経験を積ませています。ACBの試合で試合登録する12名中、2名は必ずこのエバ(Liga EBA)参戦チームの主力2人としています。

またウニカハなどは3軍チームを自主的に18歳以下のチームにしてEBAを戦っています。

1部ACBはACBが運営し、 2部3部4部はFEBが運営しているという話を以前ある講演会の最後にチラッと話したところ、そのままbjリーグがプロで、JBAが2部3部4部をやっているみたいなものかという構図の話になったのですが、 私は似てはいるけれども大きく違う点があるなと思っています。

ACBは(組織上)FEBから独立した1つの組織ですが、あくまでFEBの傘下にあると思っています。

FIBA→FEBの傘下にあるACBというリーグです。当然FIBAルールで運営されていますし、FEBの意向を無視して勝手なことはやりません。 FEBはスペイン代表をACBのプロ選手から選びますが、そこに対立の構図はありません。

FEBはスペイン代表だけでなく、U20、U19、U18、U17、U16のスペイン代表を毎年組織して育成しています。 彼らはACBでもプレーしていますが、LEBでもEBAでもプレーしています。

あくまでFEB内に車椅子バスケット部門や3x3部門があるのと同じレベルでプロ部門としてACBがあるイメージです。 ACBはプロリーグとして運営に必要なお金を集め、毎年プロチーム18チームを組織してリーグを行っています。

そしてACBはスペインにおける基本的なバスケットボール普及と強化に最大限協力し、FEBの強化部がプランニングする代表強化を支えています。


うわー、しかし書いたはいいですがわかりにくさ満点ですね、このブログ記事を叩き台にして、あーだーこーだ、質問いただいたり、それを元にACBに質問したり、FEBに質問したり、そんなこんなでさらに理解を深めていければ最高です。それがツイッターではできないブログを再開した理由(2013年1月)だったりします。どうぞ宜しくお願いいたします。