2013年2月12日火曜日

マドリードツアー2013年3月のお話

このたび株式会社HISさん主催、企画・株式会社ERUTLUCさんのEURO BBA Coaching Education Tour 2013 Madridのコーディネーターとして渡西できることになりました。バスケットボールのコーチのためのツアーで内容に関してご興味のある方はこちらで概要を把握していただけるかと思いますし、また帰国後にいろいろな媒体で成果やレポート(?)などをご報告できるかと思います。



ただ今回はたった5日間の滞在の中で3試合も観戦できるという事で、ブログでは観戦にあたって、現在のリーグの状況とかチーム紹介について書いてみたいと思います。


観戦する試合ですが、
スペイン国内リーグLiga Endesa ACBの
エストゥディアンテス対バリャドリッド
レアル・マドリード対ムルシア、そして
ユーロリーグのTOP16リーグの試合、レアル・マドリード対ブローズ・バスケッツ(ドイツ)
の計3試合です。


Liga Endesa ACBとは

リーガ・エンデサ・アーセーベーと読みます。1983年にLiga ACBは創設されましたが、2011年夏に電力会社エンデサ社がスポンサーとなり、リーグ名がネーミングライツにより単にLiga Endesa、もしくはLiga Endesa ACBとなりました。これがスペイン国内1部リーグになります。参加チームは18チーム、ホーム&アウェイで総当り計34試合をレギュラーシーズンとして戦い、上位8チームがプレーオフに進出するというスタイルです。また17位18位は2部リーグに自動降格となります。

他に面白い仕組みとしてスペインではオールスターゲームのようなイベントに人気がなく2004年に廃止、その後スペインバスケットボール界がとった策はコパデルレイ(国王杯)の改革でした。同大会を4日間の短期集中開催として、8チームによる1発勝負のトーナメント戦の公式大会にリニューアルしたのです。そしてこの8チームの参加資格をレギュラーシーズン34試合中、17試合終了時の上位8チームとしました。

2012-13 ACBシーズンの状況

今季のACBはレアル・マドリードが圧倒的な強さを見せています。なんと開幕14連勝で独走して現在も19勝1敗で首位です。今日(2月12日)の時点の順位表です。

 1 レアル・マドリード 19-1
 2 カハ・ラボラル 17-3
 3 グラン・カナリア 13-7
 4 F.C.バルセロナ 12-8
 5 バレンシア・バスケット 12-8
 6 ビルバオ・バスケット 12-8
 7 CAIサラゴサ 11-9
 8 アセファ・エストゥディアンテス 11-9
 9 FIATCジュベントゥット 10-10
10 ブルセンス・モンブス 9-11
11 ..省略

ちなみにレアル・マドリードの唯一の1敗は年末にあったバルセロナ戦でした、その時はナバーロが大活躍しました(ハイライト動画)、では今回のツアーで観戦に行くチームを紹介します

レアル・マドリード
現在首位独走中、2006-07シーズン以来優勝から遠ざかっていますが、2011年に現HCのパブロ・ラソが就任してから非常に強力なチームになっています。中心はスペイン代表でも活躍するセルヒオ・ロドリゲス、セルヒオ・リュル、ルディー・フェルナンデス、フェリペ・レジェスとスペインに帰化している若手スターのニコラ・ミロティッチ、過去ACBで2年連続(09-10,10-11)得点王だったジェイシー・キャロルなどがいます。

アセファ・エストゥディアンテス
2011-12シーズンは悪夢のような成績で2部降格となる17位でしたが、財政難から昇格する予定だったチームが倒産するなどして1部残留が決まって再出発の今シーズン、新HCのビドレッタがうまくチームを再編成して快進撃、今季は17試合終了時点で8位以内に入り、コパデルレイにも進出、このままプレーオフも狙える位置につけています。エストゥディアンテスは今回のツアーで5日間訪問するので特別に全選手紹介です。

11番ジェイソン・グレンジェール 1989年生 188cm Jason GRANGER
エストゥディアンテスの育成組織(以下カンテラ)出身のウルグアイ人ガード、トップチーム6シーズン目

4番ジョシュ・フィッシェル 1980年生 189cm Josh FISHER
スペインでプロキャリア9年目のベテランガード、アメリカ人だが大学時代にスペイン人女性と結婚してパスポート所有

7番ハイメ・フェルナンデス 1993年生 186cm Jaime FERNANDEZ
カンテラ出身のスペイン人若手スターガード、各年代別スペイン代表選手

14番カイル・クーリック 1989年生 193cm Kyle KURIC
新外国人選手、NCAAのルイヴィル大を出て新卒でエストゥディアンテスと2年契約

23番カール・イングリッシュ 1981年生 192cm Carl ENGLISH
新加入・カナダ代表選手で現在ACBのリーグ得点王、スペインでは6シーズン目で5チーム目

14番タリック・キルクセイ 1979年生 199cm Tariq KIRKSAY
フランス系アメリカ人、昨季3月に途中加入もすぐにリーダーシップを発揮した人格者

12番ヘルマン・ガブリエル 1980年生 207cm German GABRIEL
ナバーロやガソルと同じ黄金世代の一員、中でも外でもプレーできる選手で代表復帰も噂されるほどの活躍

35番ルーカス・ベベ・ノゲイラ 1992年生 212cm Lucas NOGUEIRA
ブラジル人若手ビッグマンでカンテラ出身選手、おそらく数年のうちにNBAに行くと思われます

31番ラモント・バルネス 1978年生 208cm Lamont BARNES
新HCビドレッタと昨季同じチームにいたスペイン国籍を持つアメリカ人PF、戦術的助けとなる選手

10番ダニエル・クラーク 1988年生 210cm Daniel CLARK
15歳の時のサマーキャンプでスカウトされたエストゥディアンテス育ちのビッグマン

その他、エストゥディアンテスBチーム(4部リーグ)に所属していながらトップチームに帯同している2人

16番エドガル・ビセード 1994年生 201cm Edgar VICEDO
カンテラ出身のSFで、Bチームではエース格の選手

17番フラン・ゲェーラ 1992年生 214cm Fran GUERRA
カンテラ出身のビッグマンで2012年U18スペイン代表


ヘッドコーチのビドレッタさんとヘルマン・ガブリエルは2002年キリンカップのスペインB代表(ACと選手)として来日、日本代表と戦っています。またチーム名のアセファ・エストゥディアンテスのアセファはスポンサー(保険会社)で、チーム名にもネーミングライツがある仕組みです。


ブランコ・デ・ルエダ・バリャドリッド
過去にはサボニスやオスカー・シュミットなども在籍した事がある古豪チーム、バリャドリッドも昨シーズン2部降格のはずでしたが、他チームが財政難から1部残留となったチームです。ここ10年は下位に低迷していますが、今季は積極的な補強をするなど開幕から調子が良いです。主な選手は220cmのビッグマン、シナノビッチ、2人の新アメリカ人選手オセロ・ハンターとアレックス・レンフローが機能、さらに年始にドミニカ共和国代表ガードのエドガー・ソーサとパトリック・ユーイングJr.と契約(あの有名なユーイングの息子さん)、中心となるスペイン人選手はベテランのナチョ・マルティンとジョルディ・グリマウがいます。ブランコ・デ・ルエダは白ワインの会社なので、ツアー中にこのワインを飲む可能性もありますね。

UCAMムルシア
UCAMはUniversidad Catolica de Murciaの略で正式にはサン・アントニオ・カトリック大学と言います。ネーミングライツというより、2年ほど前からムルシア州の大学と提携して、州や自治体がチーム運営にお金を出しているようです。チームの中心は元スペイン代表のベルニ・ロドリゲス、長髪のオーストラリア代表選手デビッド・バーロウ、NCAAアイオワ大から新卒加入のマット・ゲイテンス、スペイン人選手ジョゼップ・フラン、ホセ・アンテロ、NCAAユタ大出身のフランス人ビッグマン、キム・ティリーあたり。


ツアーではエストゥディアンテスの練習施設に5日間滞在し、トップチームの練習も見学した後にトップチームの実際の試合を観戦できるというスケジュールになっているので、コーチの方にとってはどんな練習が実際の試合にも活かされるのか比較して見ることもできるようになっています。いっぽうレアル・マドリードのほうは(練習見学などができないこともありますが)、ルディーやセルヒオ・ロドリゲスなどの元NBAスター選手がいる楽しい試合観戦という風に考える事もできると思います。


おまけ

2012-13 今季の今年1月13日、コパデルレイ出場権をかけた第17節のエストゥディアンテス対バルセロナ戦のフル動画がyoutubeにあったので、予習がてらにエストゥディアンテスのゲームを見ておくと、練習場見学や実際のACB観戦でも楽しさ30倍だと思います、ぜひ。







昨年12月11日のマドリードダービー、エストゥディアンテス対レアル・マドリード戦もフル動画でありましたので、ぜひ